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不確実性の時代におけるオルタナ投資
2025年8月13日

はじめに

2四半期、株式市場やその他のリスク資産は反発をみせ、S&P 500指数は6月下旬に過去最高値を更新しました。地政学的リスクや貿易摩擦の継続、インフレ動向、金利の先行きなど、さまざまな懸念材料がある中でも、投資家は冷静さを保ち、市場は堅調さを維持しました。米国経済が不安定な局面にあるものの、投資家の安心感を支えたのは底堅さを示す経済データで、GDPは第2四半期に3.0%の伸びとなり第1四半期の-0.5%から回復、消費者支出の底堅さが支えとなりました。

それでも、ウォール街の格言「唯一の確実性は不確実性である」は、まさに今の状況を的確に表しています。課題は依然として多く、低成長と高インフレの局面に突入する可能性が示唆されています。

5月にはインフレが上昇に転じ、年初の下落傾向が反転しました。ただし、高関税の影響が多くの消費財価格に十分に反映されるには、まだ時間がかかりそうです。インフレの上昇は経済成長を鈍化させる可能性があり、長期的な政府財政の持続可能性についても、投資家の間で懸念が高まっています。

この様な状況下において、連邦準備制度理事会(FRB)は金利を据え置いていますが、追加利下げはインフレ再燃のリスクを伴うとしています。その結果、金利と債券利回りは過去数年と比べて依然として高水準にあり、少なくとも短期的には高止まりすると見込まれます。今後も、2025年の市場はボラティリティと不確実性が続くことが予想されます。

このオルタナ四半期レポート最新号では、変動性や不確実性の高い今日の市場環境でオルタナティブ投資が提供するソリューションについて探ります。これらのオルタナ戦略は、ポートフォリオの分散効果を高め、ボラティリティや不確実性の影響を緩和し、インフレヘッジの可能性を提供するとともに、低成長環境においても収益とインカムの向上が期待できます。オルタナティブ全般の見通しに関する議論において繰り返し強調されるのは、経験豊富なマネージャーとの提携が重要であるという点で、この不確実な環境下においてその重要性が高まっています。

具体的には ──

  • インフラストラクチャー:高インフレ・低成長の現状環境が、投資家のポートフォリオに安定性とレジリエンスをもたらすインフラ投資の潜在力を浮き彫りにしています。
  • プライベート不動産:プライベート不動産のバリュエーションが今後さらに上昇する可能性を示すトレンドや兆候が確認されています。
  • プライベート・エクイティ:不確実な環境下で選択的な取引が続くプライベート・エクイティでは、マルチプル拡大の追い風に頼っていたマネージャーの注目は、マージン拡大に向けた積極的な運営関与に実務の取り組みへと移っています。
  • プライベート・クレジット:高金利かつ政策動向が不透明な市場における変動金利の重要性を詳しく見ていきます。

さらに、「オルタナ市場ダッシュボード」では、オルタナ投資に関するデータ、市場や投資に関する洞察を紹介しています。注目すべき数値は以下の通りです:

  • 1,535億ドル:インフラ取引額は1,535億ドル(前年比+130.5%)と、2021年以来の最高水準を記録しています1
  • 8.9倍:プライベート・エクイティ案件はバリュエーションが上昇しつつも取引件数は減少となり、取引約30件のEV/EBITDA倍率中央値は8.9倍となっています2
  • 12.3%:不動産取引額は、金利変動と資金調達環境の改善を背景に前年比で12.3%の増加を記録、取引額平均は7,140万ドルに達しました3

 

インフレ上昇局面で強みを発揮するインフラ


インフラ投資がニュースの見出しを飾ることはあまりありません。歴史的に見ても、インフラ投資は経済や市場の変動の影響を比較的受けにくく、投資家に安定したインカムを提供し続けてきました。まさにその点が、市場変動が激しい中でインフラ投資が魅力である理由です。

したがって、現在の経済の不確実性、粘着性の高いインフレ、市場の変動性を考慮すると、インフラ投資が投資家にとって非常に魅力的な選択肢として注目されていることは、驚くべきことではありません。

インフレがさらに上昇する環境


今年に入り、前半はインフレ率が低下傾向にあったものの、5月に上昇に転じました。2024年末から今年前半にかけてのインフレ指標は好ましい内容でしたが、2025年後半にかけてインフレ率が平均を上回る状態が持続する可能性が高いと見られます。実際のところ、以下のグラフが示すように、関税税率の大幅な引き上げの可能性や、政府財政の長期的な持続可能性に関する懸念から、市場参加者は今年を通じてインフレ率が上昇すると予想しています。当面の間は、低成長、高インフレの状況が継続すると当社では見ています。

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インフレ期待は大幅に上昇

出所:クリーブランド連銀、20256月時点。予測に保証はなく、実際の結果は異なる場合があります。

このような状況下、インフレに対するプロテクションとしてインフラが持つ優れた防護力に注目すべきと考えます。このプロテクションは、当該資産クラスが持つ2つの特性によるものです。まず、プライベート・インフラ資産は、通常、インフレ連動型の価格上昇条項を含む長期契約に基づいて運営されており、インフレ率の上昇に伴い収益も増加するという直接的なメリットを備えています。第二に、プライベート・インフラは間接的な価格決定力による恩恵を受けることができます。明確なインフレ対策が講じられていなくても、多くの資産所有者は、市場における強力なポジションを背景に、コスト上昇分を価格に転嫁することができる場合が多いのです。その結果、インフラはこれまで、インフレ率が平均を上回る期間を通し良好なパフォーマンスを計上し、ポートフォリオの強靭性を高める役割を果たしてきました。

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インフラは歴史的にインフレ高進期を通し良好なパフォーマンスを発揮してきた

対象期間:2010 年1 月1 日~2024 年12 月31 日。出所:ブルームバーグ、プレキン。株式はMSCI ワールド・インデックス、債券はブルームバーグ・グローバル総合インデックス、プライベート・インフラはプレキン・プライベート・インフラストラクチャー・インデックスを指します。

さらに、プライベート・インフラは、上場市場の同種資産と比較しても優位性を備えています。上場インフラ、REITETFは、インフレ調整後のインカムを提供することが可能ですが、過去データを見ると、その価格は株式市場全体の動向に連動して推移してきました。歴史的に、インフレ率が上昇する局面において、上場インフラ投資のリターンは低下する傾向にあります。プライベート・インフラ投資のパフォーマンスは、市場動向よりも実際の契約内容やキャッシュフローに直接的に結びついているため、上場市場の変動の影響をある程度受けにくいという優位性を持ちます。

重要性を増すマネージャーの選択


マネージャーの選定は常に重要ですが、インフレの上昇が見込まれる環境下では特に、優れた資産選択能力と、堅固な資本構造を持つインフラ資産への重点的な投資姿勢が求められます。

インフラ資産は本質的に長期的な資産であるため、高インフレ環境がもたらすリスクを考慮する場合、マネージャー選定においては優れた実績を持つ運用者を選ぶことが重要となります。マネージャーは、堅固なリスク管理の枠組み、規律ある為替・金利ヘッジ戦略、保守的な資金調達構造を確保したうえで、インフラ投資に注力しなければなりません。これらの戦略を活用することで、粘り強いインフレリスクを軽減し、インフレ局面を活用する機会を見出すことが可能となります。

まとめ


インフラは、資産寿命が長く、収益プロファイルが安定しており、長期的な成長ドライバーが堅固であることから、魅力的な投資機会であると当社は考えています。この資産クラスは、従来の株式や債券との相関が歴史的に低い資産クラスとなっており、ポートフォリオの分散効果を高めることが可能です。インフラ資産は社会が日常的に機能するうえで不可欠であるため、景気後退期にあっても需要がなくなることはありません。当社では、経済サイクルを通じて投資家のポートフォリオの安定性と強靭性を確保するという点において、現在のインフレ上昇と成長減速という環境下ではインフラ投資の戦略的な重要性が際立っていると考えています。

 

プライベート不動産:回復の兆しとそれを下支えするトレンド


レバレッジ資産クラスである不動産のパフォーマンスは、金利の動きや資金調達環境に密接に関連しています。そのため、昨年FRBが金融緩和サイクルを開始したことは不動産価値が改善する転換点となりました。一方で、歴史的に見ると、不動産のバリュエーションは利下げに対する反応が遅い傾向があります。

状況は変わりつつあると考えられます。不動産セクターは現在、景気循環と構造的トレンドの両面からのさまざまな経済的な追い風から恩恵を受ける態勢が整っていると当社は見ています。

シクリカルなモメンタム


不動産に対するセンチメントは改善傾向にあり、直近数カ月間で入札意欲が高まっています。以下のチャートにも示されている通り、この流れは取引活動の活発化という形で表れています。2024年第1四半期と比較して、不動産取引量は12%増加しました。実質金利は3月末まで低下した一方、商業用不動産担保証券(CMBS)のスプレッドは横ばいとなり、2022年第1四半期以来最も活発な不動産取引の第1四半期となりました14月の取引高も堅調だったとの暫定データも出ており、第2四半期の見通しは明るいと言えます。

取引量は依然として10年平均を下回っていますが、第1四半期の改善には買い手と売り手が現在の融資水準で取引を行う意思があることが示されており、今後さらに価格の改善につながることが期待されます。

結果として、すでに著しい価格の改善が確認されており、商業用不動産価格は過去12カ月間で3.4%上昇しています4

過去の不動産サイクルとは異なり、現在の不動産市場は、オフィスの一部セグメントを除き、堅調なファンダメンタルズに支えられています。これは、労働市場の逼迫、比較的限られた供給、そして安定した需要によるものです。収益の成長も堅調に推移しており、インフレに連動しやすい米国の産業用不動産や集合住宅など、多くのセクターを支えています。

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2025年第1四半期現在、取引量は前年同期比で大幅に増加している

出所:グリーン・ストリート・アドバイザーズ、20257月時点。

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上昇傾向にある商業用不動産価格

出所:グリーン・ストリート・アドバイザーズ、20257月時点。

住宅および物流セクターを中心にバリュエーションが改善し、主要セクターの取引価格が安定性を増していることから、多くの地域市場ではサイクルの底を過ぎている可能性が高いと当社は考えています。

構造的な追い風


不動産投資のリターンを左右する最も重要なドライバーのひとつに、長期的な構造的トレンドが挙げられます。例えば物流施設は、日常生活のデジタル化、サプライチェーンの再構築、地政学的緊張が払拭されない現実など、長期的なトレンドによる需要の増加の恩恵を受け続けています。これには、Eコマース向け不動産、新たな貿易パートナーの増加、そしてエネルギー効率の高いビルに対するテナントの需要の高まりなども含まれます。

住宅セクターでは、ミレニアル世代が家族を形成する時期に入り、より広い賃貸住宅を必要としたり、ベビーブーマー世代が高齢者に優しい居住環境を必要としたりするなど、人口動態の変化が成長を牽引しています。手頃な価格の住宅供給が慢性的に不足している点も、賃貸住宅に対する強い需要につながっています。

まとめ


新たなサイクルに入るにあたり、資本コストが比較的高水準で推移していることから、グローバル金融危機後の時期とは大きく異なる展開になる可能性が高いと当社は考えています。これにより、バリュエーションの分散がさらに進み、評価額のさらなる分散が生じる可能性があり、取引価値における損益の幅も大きくなることが見込まれます。パフォーマンスの分散は、セクター間および市場間の双方で生じやすいと考えられます。

これにより、新たな不動産サイクルにおいて勝者と敗者の差が拡大する可能性が生じます。一方で、アルファ創出の機会も大きくなることを意味します。サイクルを通じた実績を持つ経験豊富な不動産マネージャーのスキルは、ボラティリティの高い局面でのアウトパフォーマンスを実現する上で極めて重要です。

 

プライベート・エクイティ:不確実性に耐える強靭さ


経済および地政学リスクが不透明な状況下で、プライベート・エクイティ(PE)の取引活動は依然として選別的に行われており、投資家は資本コストの上昇や保有期間の長期化に適応する中で、評価額に対する厳格な目線を維持しています。一方で、今後はPEマネージャーが運営改善への注力を強化し、マルチプル拡大の追い風に頼るのではなく、利益率拡大という地道な取り組みにシフトする必要があると考えています。

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FFレートとプライベート・エクイティ取引額

出所:米連邦準備制度理事会、プレキン、20256月現在。

長年にわたり、PEマネージャーは、ほぼゼロ金利の時代によって可能になったマルチプル拡大の恩恵を受けてきました。マルチプル拡大とは本質的に、投資家が企業の収益1ドルあたりにより多くの金額を支払うことを意味し、これは、ここ数年の上場企業で見られる株価収益率の上昇と似ています。

しかし現在では、金利の上昇によってバリュエーション倍率に下押し圧力がかかっており、PE投資における価値創出は、マージン拡大にますます依存することになります。すなわち、売上高に対する利益を向上させ、1ドルあたりの利益を増やすことで収益性を高めることです。過去10年間において、この価値創出ドライバー中央値で僅か10bpsしか寄与しておらず、高金利環境下では改善余地が大きいことが示されています。

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グローバル・バイアウトにおける価値創造ドライバーの指数化中央値(2013年~23年に開始された取引)

注:企業価値を指数化。エントリー年ごとの完全および部分的に実現したグローバル・バイアウト取引を含む。投資資本が50百万以上の取引を含む。不動産は除外されている。すべての数値は米ドル建てで算出。

出所:ディールエッジ(CEPRESのデータに基づく)。ベイン・アンド・カンパニー 2024年分析。

一方で、上位25%のプライベート・エクイティ案件においては引き続き利益率拡大が重要な要素になっています。以下の図が示すように、利益率拡大は、PEグローバル・バイアウト上位案件における価値創造ドライバーの15%を占めています。

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トップパフォーマンス取引の重要な推進要因となっている利益率拡大

注:内部収益率(IRR)による上位 4分の1および下位4分の1の取引。上位4分の1および下位4分の1には、IRR データが入手可能な取引のみが含まれる。エントリー年ごとの完全および部分的に実現したグローバル・バイアウト取引を含む。投資資本が50百万以上の取引を含む。不動産は除外されている。すべての数値は米ドル建てで算出。

出所:ディールエッジ(CEPRESのデータに基づく)。ベイン・アンド・カンパニー 2024年分析。

これらのアウトパフォーム案件では、運営改善と収益性の向上を通じて価値創造の大部分が創出されています。また、上位25%の案件では、より高いエグジット倍率を達成していることも注目すべき点です。これは、投資家が、営業利益率の拡大を示す企業に対してプレミアムを支払う態勢にあることを示しています。

利益率拡大の効能


市場サイクルやマクロ経済の不確実性に対し極めて感応度の高いマルチプル拡大とは異なり、利益率はよりコントロールしやすいものと言えます。PEマネージャーは、運営における専門知識を活用して利益率を上げることで、価値創出とレジリエンスの強化を図ることができます。このアプローチにより、ポートフォリオ企業は、金利環境や貿易政策の変動にかかわらず、より安定した業績を維持することが可能になります。

サプライチェーンに関する調査によると、ほとんどの企業はパフォーマンスの低い供給網で事業を展開しており、売上総利益で510%(場合によってはそれ以上)の利益機会を逸失しています。サプライチェーンの効率を改善することで、企業は収益性を高めるだけでなく、貿易関税などの外部圧力の影響を緩和、あるいは完全に相殺することも可能です。

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関税の圧力を受ける状況下での売上総利益の最適化

説明目的の分析で、売上原価(COGS)の50%20%の関税が課せられることを想定し、総COGS10%増加し売上総利益率が8ポイント(20%から12%)減少すると仮定。コスト転嫁は考慮していない。売上総利益率の回復シナリオは、ベイン・アンド・カンパニーのサプライチェーンとコスト変革プログラムのベンチマークに基づき、5%8%10%のオペレーション効率の向上を反映している。回復率は、元の20%の基準値に対する回復した利益率ポイントを表している。すべての数値は説明目的であり、簡素化のため四捨五入されている。

出所:ベイン・アンド・カンパニー 、ブルックフィールド、2018年。

まとめ


バリュエーションのマルチプルが圧迫され、金利高止まりが構造的な要因として継続する見通しの中、PEマネージャーは市場動向に依存する追い風を頼りにするのではなく、自ら直接コントロールできる要素、つまり運営に注力する必要があります。利益率拡大を通じてリターンを向上させる能力、すなわち、効率性の向上、コスト構造の最適化、ポートフォリオ企業レベルでの価値の向上が、すでに重要な差別化要因となっています。

この運営重視のアプローチは、パフォーマンスを向上させるだけでなく、不確実性の中でも強靭性を高め、マネージャーが市場サイクルやマクロ経済状況に依存せずに価値を創出することを可能にします。構造的に金利の水準が高い新たな時代において、利益率拡大を通じてリターンを生み出す能力こそが、次世代においてトップクラスのパフォーマンスを計上するマネージャーを見定めるうえでの重要な要素となるでしょう。

 

プライベート・クレジット:変動金利の優位性


市場の変動と不透明感が払拭されない中、ポートフォリオの分散とインカム源を求める投資家にとって、プライベート・クレジットの魅力が増しています。オルタナ四半期レポート2025年5月号でも述べたように、プライベート・クレジットはまさにそのような役割を果たし、市場が不安定な時期にポートフォリオの安定性を確保する手段となり得ます。プライベート・クレジットは、魅力的なインカムを確保しリスクを低減する可能性に加え、今日の複雑なマクロ経済環境にふさわしい重要な構造上の優位性を投資家に提供します。

こうした構造上の優位性の中には、プライベート・クレジットが変動金利クーポンを採用しているという重要な特徴があります。特に、金利が高水準で推移し、金利とインフレの先行きが不透明な状況において、なぜそれが重要なのかを詳しく見てみましょう。

企業への直接融資からプライベート資産担保融資(ABF)までを含むプライベート・ローンの大半は、基準金利の上昇に応じて金利が上昇する変動金利型クーポンを採用しています。これにより、インフレ圧力下でもリターン獲得の可能性を維持することができます。

変動金利クーポンは通常、担保付翌日物調達金利(SOFR)などの基準金利に基づき、その上に固定スプレッドを加えたものとなっています。基準金利が上昇すると利息収入も増加するため、金利上昇局面において利回りの維持や向上に貢献します。

一方、投資適格債券や米国債などの伝統的な上場固定利回り商品は、金利上昇局面では通常、利回りが上昇し価格が下落します。固定クーポン支払いの場合、実質(インフレ調整後)のインカムは時間の経過とともに目減りします。

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固定金利 vs. 変動金利

例示目的のみ。

短期的な追加利上げの可能性は低いものの、金利が過去数年間の水準に比べて依然として高い水準にある点には注意が必要です。結果として、SOFRに連動する変動金利クーポンに支えられたプライベート・クレジットの利回りは現在極めて魅力的な水準にあります。多くの変動金利型プライベート・クレジット商品は、金利が低下した場合でも最低利回りを保証する金利下限条項が盛り込まれています。さらに、非公開で交渉された契約には、返済罰則、コール保護、コールプレミアムなどの保護条項が盛り込まれていることが多く、金利が横ばいまたは低下する環境下でもリターンの安定化に寄与する可能性があります。

変動金利構造は、プライベート・クレジットの多くの分野で広く採用されており、特にプライベートABFでは、インカムが借り手の企業価値ではなく実物資産やキャッシュ創出資産に裏付けられています。また、変動が激しく不確実な市場においてABFがポートフォリオの強化にどのように貢献できるかについても注目することが重要です。ABFポートフォリオは一般的に原資産のパフォーマンス(例:リース、ローン、売掛金)に紐づけられており、低成長環境下でも強靭性を維持できる可能性があります。この種の資産は、短い残存期間、契約で裏付けられたキャッシュフロー、および償却スケジュールといった特徴を備えている場合が多く、これらが市場変動に対する感応度を低減する役割を果たしています。さらに、プライベートABF戦略は、航空機リース、音楽ロイヤルティ収入、または住宅ローンプールなど、広範な経済サイクルから構造的に隔離されたセクターや資産クラスに焦点を当てています。その結果、パフォーマンスはマクロ経済状況やクレジット市場よりも、資産の運営実績に依存する傾向があります。変動金利構造と強靭なキャッシュフロー創出資産の組み合わせは、成長鈍化の一方で金利が依然として高水準で推移する現在の環境下で特に有利と言えます。

まとめ


今日の成長鈍化とインフレ期待の高まりという背景は、伝統的な株式および債券ポートフォリオにいくつかの課題をもたらしています。このような環境下において、インカム源の強化は、ポートフォリオの強靭性を高め、投資家が目標に向かって順調に進むために重要な手段となる可能性があります。企業向け直接融資からプライベートABFまで、プライベート・クレジットの構造的な強みは、この課題に対処する上で重要な優位性をもたらす可能性があります。

Read more in our Alts Quarterly Q3 2025.

 

 

脚注

1. プレキン、20253月時点。

2. プレキン、202412月時点。

3. プレキン、20253月時点。

4. 出所:グリーン・ストリート・アドバイザーズ、20257月時点。

リスクに関する記述

資産クラスとして、プライベート・クレジットは多様な債券で構成されています。それぞれのリスク/リターン特性は異なるものの、プライベート(非上場の)クレジット投資では、資金調達の選択肢が限定的な企業へのオポチュニスティックな投資を模索するため、一般的に、上場のものと比較してデフォルト・リスクが高くなります。プライベート・クレジット投資では、通常、発行体が投資適格未満または無格付けであるため、より高いリスクの対価として利回りもより高くなります。

不動産関連商品への投資は、不動産の物件価値、賃料、入居率に影響を及ぼす経済、法令、環境の要因から影響を受ける場合があります。インフラ企業は、その事業に悪影響を及ぼす可能性のある様々な要因(高金利、高レバレッジ、規制コスト、景気減速、余剰生産能力、競争激化、燃料不足、再エネ方針など)から影響を受ける場合があります。

オルタナティブ投資はしばしば投機的であり、高いリスクを伴います。投資家は、投資金額の全てまたは多額を失う可能性があります。ハイイールド債には金利リスクが伴います。金利が上昇すると債券価格は下落します。一般的に、満期が長期になるほど金利リスクに対する感応度が高くなります。利回りは経済状況に伴って変動します。利回りは、投資意思決定に際する検討事項のひとつにすぎません。

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インデックスの定義

ブルームバーグ・グローバル総合インデックスは、世界中で取引されている投資適格債券で構成される時価総額加重インデックスです。同インデックスには、市場の債券ユニバースを疑似する政府証券、モーゲージ担保証券、資産担保証券、社債が含まれます。同インデックスを構成する債券の満期は1年以上です。

ブルームバーグ米国ハイイールド債インデックスは、米ドル建て固定金利ハイイールド債市場のパフォーマンスを測定する指数です。ムーディーズ、フィッチ、S&Pによる格付けの中間がBa1/BB+/BB+またはそれ以下の場合、ハイイールド債として分類されます。

クリフウォーター·ダイレクト·レンディング·インデックス(CDLI)は、特定の適格性要件を条件として、上場および未上場の両方を含む事業開発会社(BDC)の原資産の資産加重パフォーマンスで表される、米国ミドルマーケット(中堅)企業貸付のレバレッジなし報酬控除前パフォーマンスを測定する指数です。

FTSE EPRA Nareit ディベロップト不動産インデックスは、運用されていない時価総額加重トータルリターン·インデックスであり、先進国の上場エクイティ·リートおよび上場不動産企業で構成されています。

FTSEグローバル·コア·インフラストラクチャー50/50インデックスは、市場参加者に業界の定義によるインフラの解釈をもたらし、一定のインフラ·サブセクターへのエクスポージャーを調整しています。セクター別構成比率は、半年ごとのレビューの一環として、広範な3産業セクターについて、公益事業50%7.5%を上限とする線路/鉄道を含む運輸30%、パイプライン、衛星、電気通信塔を含むその他セクター20%の比率に従って調整されます。各グループ内の個別銘柄の比率は、投資可能時価総額の割合で調整されます。

MSCI ワールド·インデックスは、先進国の株式市場のパフォーマンスを測定するように設計された、浮動株調整後時価総額加重インデックスです。

ナスダック指数は、ナスダック株式市場で取引されている企業を時価総額加重方式で追跡する指数です。

プレキン·インフラストラクチャー·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資額に基づいて、投資家がプライベート·インフラ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。

プレキン·プライベート·エクイティ·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート·エクイティ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータを保有するクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時と終了時の両方で個別に算出されています。

プレキン·リアル·エステート·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート不動産ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。

S&P500インデックスは、幅広く保有された大型株米国企業を代表する500社の株価指数です。

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