マーケット / インフラストラクチャー
インフラとリスク低減
2025年5月26日

今年は市場のボラティリティが高まる中、安定性を求める投資家の関心がインフラ投資に一段と集まっています。インフラは資産クラスとして、多くの魅力的な特性を備えています。たとえば、交通、エネルギー、水道など、社会・経済活動に不可欠な基盤サービスを提供している点は、インフラの代表的な特徴です。その他にも、大規模な初期投資や厳格な規制環境により参入障壁が高く、競争が限定される傾向にあります。そして、多くのインフラ資産は長期契約に基づいて運営されており、将来のキャッシュフローを比較的高い予見可能性をもって見込むことができます。この安定したフリーキャッシュフローは、定期的なインカム分配を通じて投資家に還元されるだけでなく、資産価値の成長を促す追加投資の原資としても活用されます。

歴史が証明するもの


このようなインフラ資産の特徴を踏まえれば、市場環境が厳しい局面においてもプライベート・インフラが堅調なパフォーマンスを発揮してきたことは、決して驚くべきことではありません。図表1では、2004年以降の5年間を1単位として、最大リターンと最小リターンを資産クラス・投資戦略別に比較しています。堅調な市場環境下では、プライベート・インフラは他の資産クラスと比較して必ずしも最高リターンを記録するわけではありませんが、安定した絶対リターンを継続的に記録しています。一方で、市場が不安定な局面では、多くの資産クラスを大きく上回るリターンを実現してきました。

言い換えれば、参照インデックスが設定されて以降、プライベート・インフラが5年間でマイナスを記録したことは一度もありません。すなわち、インフラはリスク低減効果に加え、リターンの向上にも寄与し得る資産クラスであると言えます。したがって、長期的なポートフォリオ構築を行うにあたっては、こうした過去のパフォーマンスの特性に着目し、プライベート・インフラを戦略的に位置付けることが重要だと考えます。

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S&P500 は過去10 年間で集中化が進んだ

プライベート・インフラは、リスクおよびリターンの両面で上場株式を上回るパフォーマンスを示しており、リターンの安定性という観点でも優れた特徴を備えています。図表2が示すとおり、プライベート・インフラは比較的低いボラティリティで魅力的なトータルリターンを実現してきました。具体的には、過去10年間で年率10.4%のリターンを記録しており、シャープレシオは1.91となっています(シャープレシオはリスクに対する超過リターンを示す指標であり、1を超える場合はリスクに見合った良好な投資成果が得られていることを意味します)。一方、グローバル株式は同期間に年率10.7%のリターンを記録していますが、シャープレシオは0.57と、リスク調整後のリターンの面ではプライベート・インフラに劣後しています。

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図表2:グローバル株式と比較してディフェンシブ性を提供するプライベート・インフラ

Private Infrastructure: Stability, Upside, and Strong Risk-Adjusted Performance

  • Outperformed public market equities from a risk/reward perspective
  • Delivered consistent, attractive total returns
  • Achieved upside with a fraction of the volatility

リスク調整後リターンの観点から最も優れたポテンシャルを秘めているのは、運用期間に定めのないエバーグリーン型インフラファンドであると考えます。一般的に、こうしたファンドは私募型ファンドに比べて投資家のアクセスが容易である一方、単年ベースでのパフォーマンスが相対的に見劣りすることから、しばしば過小評価されがちです。しかしながら、エバーグリーン型インフラファンドは、一貫したリターンを提供してきた実績があります。

まとめ


インフラは、契約や規制に基づく収益構造を有しており、債券に類似した安定的なキャッシュフローに加えて、インフレヘッジ機能や経済成長に伴うアップサイドの可能性も兼ね備えています。こうした特性により、インフラはあらゆる市場環境において魅力的な投資対象として位置づけられます。現在の市場環境においては、インフラが提供する以下のような価値――リスク抑制、魅力的なトータルリターン、低ボラティリティ、そしてマネージャー選定を通じた追加的なアルファ創出の可能性――を活用することで、ポートフォリオの質を一段と高めることが可能になると考えられます。

 

 

リスクに関する記述

資産クラスとして、プライベート・クレジットは多様な債券で構成されています。それぞれのリスク/リターン特性は異なるものの、プライベート(非上場の)クレジット投資では、資金調達の選択肢が限定的な企業へのオポチュニスティックな投資を模索するため、一般的に、上場のものと比較してデフォルト・リスクが高くなります。プライベート・クレジット投資では、通常、発行体が投資適格未満または無格付けであるため、より高いリスクの対価として利回りもより高くなります。

不動産関連商品への投資は、不動産の物件価値、賃料、入居率に影響を及ぼす経済、法令、環境の要因から影響を受ける場合があります。インフラ企業は、その事業に悪影響を及ぼす可能性のある様々な要因(高金利、高レバレッジ、規制コスト、景気減速、余剰生産能力、競争激化、燃料不足、再エネ方針など)から影響を受ける場合があります。

オルタナティブ投資はしばしば投機的であり、高いリスクを伴います。投資家は、投資金額の全てまたは多額を失う可能性があります。ハイイールド債には金利リスクが伴います。金利が上昇すると債券価格は下落します。一般的に、満期が長期になるほど金利リスクに対する感応度が高くなります。利回りは経済状況に伴って変動します。利回りは、投資意思決定に際する検討事項のひとつにすぎません。

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将来の見通しに関する記述

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インデックスの定義

クリフウォーター·ダイレクト·レンディング·インデックス(CDLI)は、特定の適格性要件を条件として、上場および未上場の両方を含む事業開発会社(BDC)の原資産の資産加重パフォーマンスで表される、米国ミドルマーケット(中堅)企業貸付のレバレッジなし報酬控除前パフォーマンスを測定する指数です。

ユーロ圏を代表する株価指数であるEURO STOXX 50指数は、同地域における**主要セクターの代表的な優良企業(ブルーチップ)で構成されています。

FTSE EPRA Nareit ディベロップト不動産インデックスは、運用されていない時価総額加重トータルリターン·インデックスであり、先進国の上場エクイティ·リートおよび上場不動産企業で構成されています。

FTSEグローバル·コア·インフラストラクチャー50/50インデックスは、市場参加者に業界の定義によるインフラの解釈をもたらし、一定のインフラ·サブセクターへのエクスポージャーを調整しています。セクター別構成比率は、半年ごとのレビューの一環として、広範な3産業セクターについて、公益事業50%7.5%を上限とする線路/鉄道を含む運輸30%、パイプライン、衛星、電気通信塔を含むその他セクター20%の比率に従って調整されます。各グループ内の個別銘柄の比率は、投資可能時価総額の割合で調整されます。

ICE BofA 米国ハイ・イールド・インデックスは、米国国内市場で公募発行された米ドル建て投資適格未満社債のパフォーマンスを追跡しています。

ICE BofAメリルリンチ・グローバル・ハイイールド・ヨーロピアン・イシューアーズ非金融セクター(ロシア除く)3%制限インデックスは、より広範な指数に含まれる全ての証券のうち、金融機関の発行銘柄およびロシアをリスク国とする銘柄を除外し、かつ個別発行体の比率を3%に制限したサブインデックスです。本インデックスは毎月リバランスされ、米ドル建て為替ヘッジが適用されています。

モーニングスターLSTA米国レバレッジド・ローン指数は、米国のレバレッジド・ローン市場のパフォーマンスを測定することを目的とした、時価総額加重型の指数です。

MSCI ワールド·インデックスは、先進国の株式市場のパフォーマンスを測定するように設計された、浮動株調整後時価総額加重インデックスです。

ナスダック指数は、ナスダック株式市場で取引されている企業を時価総額加重方式で追跡する指数です。

プレキン·インフラストラクチャー·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資額に基づいて、投資家がプライベート·インフラ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。

プレキン·プライベート·エクイティ·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート·エクイティ·ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータを保有するクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時と終了時の両方で個別に算出されています。

プレキン·リアル·エステート·インデックスは、プライベート·キャピタル·パートナーシップへの実際の投資金額に基づいて、投資家がプライベート不動産ポートフォリオで平均的に獲得したリターンを指数化したものです。各データポイントは、包括的なパフォーマンスデータが保有されているクローズドエンド型ファンドのプールから、四半期開始時点と終了時点の両方で個別に算出されています。

ICE BofA メリルリンチ·グローバル·ハイ·イールド·ヨーロピアン·イシュアーズ·ノンフィナンシャル3%コンストレインド Exロシア·インデックスは、金融発行体またはロシアをリスク国とする証券を除く、より広範なインデックスに含まれるすべての証券を含むサブインデックスで、発行体のエクスポージャーは3%に制限されています。インデックスは米ドルヘッジ、月次でリバランスされています。