マーケット / クレジット
マーケット見通し:様子見の局面

オークツリーの共同CEOであるロバート・オリアリー氏とアーメン・パノシアン氏が市場見通しを語ります。

2024年4月17日
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楽観的な市場の見方の主な要因の1つ、目先の金利引き下げ期待が次々と変化しているものの、昨年10-12月期に数多くのレバレッジド・クレジット市場と株式市場を押し上げた広範な伸びは、1-3月期も継続しました。今回のラウンドアップ1では、多くの投資家が待ち望むハト派的な展開が現実となるのかを見極めようとしている今、クレジット投資家にとっての市場見通しをオークツリーの共同CEOであるロバート・オリアリー氏とアーメン・パノシアン氏が語ります。

 

2023年年末における顧客との会話の中で、私たちはクレジット投資家が自己満足に陥っていると主張しました。足元のクレジット市場を調査する中で、その評価は正しかったと思っています。過去6ヵ月間、レバレッジド・クレジット市場は、私たちが「リフトアソン」と呼んでいるように、ほぼ全てが上昇しています。現在、ハイイールド債のスプレッドは過去2年間で最も縮小しており、レバレッジド・ローンの3/4近くが99セント以上で取引されているほか、プライベート・クレジット市場における新規案件の平均利回りは12ヵ月前の水準から100-125bps程度低下しています2。インフレが予想以上に粘り強く、第1四半期の上昇は所々でブレーキがかかったものの、プラス基調が継続しています。

このような市場の力強さには、テクニカルな要因も含め、複数の要因があることは明らかですが、その核心は、米国が軟着陸に向かい、金利が十分に低下するという投資家の見方を反映しているように見えます。米国経済やインフレ見通しを過度に弱気視しているわけではありませんが、市場はすでに楽観的な期待を織り込み済みであることから、足元では上振れよりも下振れの可能性の方がはるかに高いと考えます。

特に、米国が深刻な景気後退やその他の危機に見舞われない限り、多くの投資家が予想しているほど急速あるいは大幅に金利が低下するとは考えにくいと見ています。経済成長が続き、インフレが鈍化し、失業率が妥当な範囲にとどまるのであれば、FRBが積極的に行動する理由はほぼ存在しません。むしろ、選挙の年であれば尚更のこと、FRBは様子見の姿勢を維持する可能性が高いでしょう。

ディスインフレのトレンドを考慮すると、今後2年間で金利が緩やかに低下すると考えるのは妥当であり、FFレートは0-2%ではなく、2-4%のレンジに落ち着く可能性が高いと考えます3。金利が2%を超える状態が続く限り、レバレッジを持つ企業の多くは債務の借り換えが困難になると思われるため、これは重要なポイントです。その結果、オポチュニスティック・クレジットのユニバースは今後数年でさらに拡大すると予想され、パフォーミング・デットの熟練投資家は、クレジット・ピッカー市場という好環境を引き続き満喫することが可能だと考えています。
 

 

脚注

1 このコンテンツは、2023年10-12月期に作成されたレターや、2024年1-3月期に発行されたその他資料に記載されたアイデアに基づき作成されたものです。

2 ICE BofA米国ハイイールド・コンストレインド・インデックス、2024年2月29日時点。クレディ・スイス・レバレッジド・ローン・インデックス、2024年2月29日時点。2024年2月29日時点におけるオークツリーの市場観測に基づくプライベート・クレジット。

3 この見解については、最近発行されたメモ「イージー・マネー」においてオークツリー共同会長のハワード・マークス氏が詳しく述べています。

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