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資産担保融資:その仕組みを深掘りオークツリーのABF戦略を率いるマネージング・ディレクター、クリストファー・グレイ氏に、プライベートABFの幅広い投資機会と、リスクを抑えながら魅力的なリターンを追求するオークツリーのアプローチについて伺いました。
資産担保融資(ABF)は、クレジットカード・ローン、リース、住宅ローンなどの契約資産を担保とするプライベート融資の一形態であり、プライベート・クレジットの領域においてその存在感を一層高めています。
オークツリーのABF戦略を統括するマネージング・ディレクター、クリストファー・グレイ氏に、消費者ローンを含む多様なセクターをまたぐABF投資機会の審査手法、プライベート市場のABFとパブリック市場の資産担保証券(ABS)の主な相違点、ABF戦略の特徴や留意点について伺いました。
ハイライト:
Q: 消費者ローンはABF市場の中でも非常に目立つ分野ですが、消費者の健全性については常に議論が尽きません。膨大なデータや見解、見通しがある中で、どのようにして合理的に評価したらよいのでしょうか?
資産を担保に融資を提供するにあたっては、その資産の今後のパフォーマンス、そして下振れ時にどのような動きをするかを理解する必要があります。まずは、失業率、個人貯蓄率、消費支出率などのマクロ経済データが有意義な指標となります。しかし、これらだけで消費者ローンの動向を判断できるわけではありません。消費者ローン非常に幅広いセクターで、携帯電話、自動車、住宅、クレジットカードなど幅広い種類のローン商品が存在し、信用特性もそれぞれ異なるという点を理解することが重要です。
信用力の高いスーパー・プライム層へのローンもあれば、信用力が極めて低いディープ・サブプライム層への貸付もあり、これら全てを同じ指標を使って分析することはできません。異なる商品や信用特性が様々な環境下でどのようなパフォーマンスを見せるかを理解するには、より精緻で丁寧な分析が必要です。単にデータに過度に依存してはならない——これは私たちオークツリーが特に強調している点です。
すべての消費者ローンには、オリジネーターと呼ばれるローンを組成する企業があり、このオリジネーター自体も精査します。ここでは定性的な要素を重ねて評価する必要があります。具体的には、オリジネーターがどのようにローンをアンダーライティングしているのか、どのような動機やインセンティブがあるのかを確認します。たとえば、市場シェアの拡大を狙って積極的にローンを組成しているのか、それとも、より慎重に高品質なローンの組成に重点を置いているのか、といった点です。
Q: これらの機会を評価する際、貸し手として投資を決定するにあたり安心材料となる要素は何でしょうか?
消費者ローンへの投資を検討する際、当社では「商品」と「構造」の2つの要素に注目します。商品の観点からは、携帯電話、空調設備、車両など、必需性が高く日常生活に密接するアイテムにフォーカスします。これらは消費者による支払いの優先順位が高いと考えられるもので、経済的に厳しい局面でも、消費者が優先的に守ろうとする資産に投資することを目指しています。
また、当社では担保付きの投資を選好します。これはデフォルト発生時の回収率向上につながるためです。構造面では、足元における資産のパフォーマンスしか評価していないとよく誤解されますが、際には複数のダウンサイド・シナリオを想定し、それに耐えうるクッション構造を組み込むことで、将来的なパフォーマンスの悪化に備えます。
Q: では、シンジケート市場とは異なり、プライベートの担保融資(ABF)においては、構造上のプロテクション組み入れを交渉するにあたり、投資家の裁量より大きいと言えるのでしょうか?
はい、その通りです。パブリックの資産担保証券(ABS)市場では、投資案件は通常、銀行がストラクチャリングを行い、格付機関がレビューし、リーガルカウンセルも関与しています。投資家に案件が届く段階では、ローン構造はほぼ決定しており、主な注目点はプライシングとなるのが一般的です。
一方で、プライベートのABF案件のプロセスはよりユニークで、多くの場合、オリジネーターやリーガルカウンセルと直接交渉を行います。シニアファイナンスの提供で銀行が関与する場合もありますが、交渉は通常、貸し手とオリジネーターとの二者間で進められるのが一般的です。
これにより、案件構造を柔軟に設計し、従来型のABS案件にはない下方プロテクションの仕組みを組み込むことが可能となります。
Q: 市場環境について伺います。ここでも、銀行貸し出しの減少による、ノンバンクのレンダーが活躍する余地が生まれているのでしょうか。
確かに、それも大きな要因のひとつです。消費者ローンの世界は非常に裾野が広く、大手銀行から地方銀行、信用組合、ノンバンクまで幅広くプレイヤーが存在します。そのなかで、近年特に成長しているのがノンバンクやスペシャリティ・ファイナンス企業であり、彼らは従来の銀行が提供してこなかったような商品を積極的に展開しています。
オークツリーが相対的に最も魅力的なバリューを見い出しているのは、かつては活発も貸し手の後退によって空白が生じたセグメントです。地方銀行の撤退はその代表的な例です。さらに、一部の貸し手は、特に2021年や2022年に顕在化したアフターコロナ期のパフォーマンス不振にいまだ対応している状況にあります。また、アセットライト型のノンバンクの貸し手は、ローンの売却先を見つけるのに苦戦しているケースも見受けられます。こうした状況において、当社はより有利な経済条件を交渉できることが多いのです。
Q: そうですね。もちろん、消費者向けローンはABFの一部に過ぎません。他に注目すべきセクターはありますか?
もちろんです。オークツリーの強みのひとつは、特定の分野だけでなく、ABFのあらゆるセグメントにおける専門知識を活用できる点にあります。消費者ローン以外の主要なセクターとしては、設備機器や運輸関連で、航空機リースや中小事業用の必要不可欠な設備機器などが挙げられます。
インフラやエネルギー分野も注目しています。特にデータセンター、光ファイバー、AI関連資産といったデジタル・インフラが含まれます。米国では大規模な設備投資サイクルが進行しており、キ米国では大規模な設備投資が進んでおり、キャッシュフローを生む資産を裏付けにした証券化ストラクチャーへの融資は非常に魅力的だと考えています。さらには、不動産、そして当社が広義に「コーポレート」と呼ぶ分野にも注目しており、ローンのプール、売掛金、さらにはロイヤルティ収入などが含まれます。この様に、ABFの世界は実に幅広いのです。
Q: 消費者ローンでは必需性の高い資産を重視するということでしたが、設備機器分野のフォーカスも同様ですか?
はい、その通りです。設備機器でセグメントでは、2つの重要な要素が有利に働きます。まず、貸付対象となる資産は、小型・中型・大型(航空機など)を問わず、企業にとって事業に不可欠なものです。設備機器が物理的に運営に組み込まれている場合もあり、それらなしでは事業が成り立たないこともあります。
次に、かつて専任の設備機器ファイナンスチームを持っていた地方銀行や大手銀行でさえ、撤退が顕著に見られます。これによって市場に空白が生まれ、現在競争が比較的少ない環境で、高クオリティかつ事業運営に不可欠な資産への融資機会が提供されています。
Q: パブリック市場のABSに対して、足元では ABFでスプレッドのプレミアムが提供されているようですが、その要因は何ですか?単純に流動性プレミアムなのか、それとも他に理由がありますか?
いくつかの要因があります。ABS案件は通常、固定された資産プールに対する資金が完全に確保され、格付けを考慮してストラクチャリングが行われています。案件は標準化され、格付けが付与され、売買が可能です。これらの特徴は市場の効率性に寄与する一方で、柔軟性を制約する要因にもなっています。
これとは対照的に、ABFでは、オリジネーターに対してオーダーメイドのソリューションを提供することができます。資金調達条件を柔軟に設定したり、正式な格付け獲得を省略したり、オリジネーターの要望に応じて資産基盤をダイナミックに構築したりすることが可能です。こうした柔軟性により、信用リスクに対する強固なプロテクションを維持しつつ、両当事者のニーズを満たすストラクチャリングが可能になります。
しかし、プライベート市場において、こうしたソリューションを提供できる規模、専門性、ストラクチャリング能力を有する貸し手は比較的少数です。資本の希少性がスプレッド・プレミアムを生み出しており、これは非流動性だけでなく、引き受けにおける柔軟なストラクチャリングやその複雑性に対する対価でもあります。
重要な開示事項
すべての投資にはリスクが伴います。投資の価値は時間とともに変動し、投資家においては、利益を得るもしくは投資の一部または全てを損失する可能性があります。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。
資産クラスとして、プライベート・クレジットは多様な債券で構成されています。それぞれのリスク/リターン特性は異なるものの、プライベート(非上場の)クレジット投資では、資金調達の選択肢が限定的な企業へのオポチュニスティックな投資を模索するため、一般的に、上場のものと比較してデフォルト・リスクが高くなります。プライベート・クレジット投資では、通常、発行体が投資適格未満または無格付けであるため、より高いリスクの対価として利回りもより高くなります。
検討すべきリスク
投資にはリスクが伴い、元本を失う可能性があります。当戦略が投資目的を達成するとの保証はありません。当戦略は、これらの証券に投資しないファンドと比べて、より高い信用リスク、コール・リスク、流動性リスクにさらされます。一般的に、格付の低い証券や無格付ながら同等の信用水準と見なされる証券は、格付の高い証券よりも高いリターンの可能性を提供する一方で、価格の変動が大きく、収益や元本を失うリスクも大きく、発行体のデフォルトや破産の可能性を含みます。財務的に困難な状況にある発行体の証券への投資には重大なリスクが伴い、投資時点でデフォルトの重大なリスクを抱えているか、すでにデフォルトに陥っている場合もあります。当戦略は投資目的の達成を目指してレバレッジを活用する意向を有していますが、レバレッジは普通株主のリターンに悪影響を及ぼすリスクを生じさせます。さらに、商業用不動産、輸送、ヘルスケアローン、ロイヤルティ担保型クレジット、その他の資産担保融資(不良債権を含む)への投資は、従来型証券への投資と比べてボラティリティが大きくなる可能性があります。
不良債権への投資は、投資適格未満の証券に伴うリスクにさらされます。さらに、特定の経済セクターに投資を集中させる場合、その運用成果は当該セクターの動向に大きく左右され、複数セクターに分散投資した場合と比べて値動きが大きくなる可能性があります。当戦略が期待通りの成果を生み出す保証はありません。
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