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オークツリー・クレジット四半期レポート:それでも米国は「特別」なのか?
2025年8月5日

米国経済は、卓越した成長力と革新力、複数の構造的優位性を背景に、これまで際立った存在感を示してきました。金融市場においても、その支配的地位は揺るぎないものとなっています。しかし、今年に入り、米国例外主義は今後も続くのかという疑問の声が高まっています。経済面での課題が複数浮上しつつある中で、グローバル・ポートフォリオ数多くでは米国資産が中核を占めていることを踏まえると、資産配分の見直しを検討する動きが出てきても不思議ではありません。

私たちは、依然として米国は特別であり、クレジット・ポートフォリオの中心的な役割を担う存在だと考えています。ただし、投資機会と運用体制が整っているという前提のもと、グローバルな分散投資の価値は引き続き高いと言えます。とりわけ、ハイイールドなど非投資適格クレジットの分野において、米国は世界で最も深みある流動性の高い市場を有しており、大規模な資本投入が可能です。もっとも、欧州やアジアなどその他地域における魅力的な投資機会を無視すべきではありません。投資対象を広く見渡すことで、より優れたリスク・リターン特性を持つ資産を発掘する助けになります。

仮に米国の突出した優位性が今後低下した場合、その影響は株式市場でより顕著に現れると考えられますS&P500は史上最高値圏にあり、現在の株価水準は、持続的な経済成長と投資家が米国株に対して引き続き高いプレミアムを支払うことを前提としています。一方で、クレジットのスプレッドはややタイトであるものの、そのリターンは米国経済の飛躍的成長や技術革新に依存していません。企業が存続し続ければ、投資家は(現在高水準にある)契約上のインカムを受け取ることができるのです。

 

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