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インフレ局面における不動産とインフラの活用

インフレは伝統的ポートフォリオのパフォーマンス悪化要因となり得るものの、規制や契約条項、インフレ連動型の料金/賃料引き上げといった仕組みを持つ不動産やインフラをポートフォリオに組み入れることで、インフレの恩恵を得られることが過去データから分かっています。

2023年11月20日
1 min read

概要
 

過去18カ月余りにわたり、投資家はインフレと金利上昇を特徴とする経済環境の変化を切り抜けてきました。米国では、2021年にインフレのペースが加速した後、2022年6月に9.1%を記録、40年ぶりに過去最高を更新しています1。一連の急激な利上げを受けて、米国銀行間の翌日物貸出金利の指標となるフェデラル・ファンド(FF)金利の目標水準は、ゼロ近辺から5.5%の上限へと上昇2、今後さらに上昇する可能性があります。

2023年9月末にはインフレのペースが3.7%まで鈍化したものの3、多くの投資家は、利上げの効果によってインフレ率が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標水準である2%に戻るまでには数年を要すると懸念しています。現在、ダウンサイド・プロテクション、そしてインフレと同様の投資成果を求める投資家は、不動産やインフラへのアロケーションをポートフォリオに組み入れています。

これらの「実物資産」にはインフレ局面で底堅さを示してきた実績があります。インフレは過去20年にわたり低いまたは抑制された水準が維持されると広く想定されましたが、2003年から2023年にかけての平均インフレ率は2%目標を上回り、30四半期において2.53%以上を記録しました4

当社では、インカムとキャピタル成長を提供し、リスクの低減やインフレに対するプロテクションといったメリットが期待できる実物資産に投資する意義は大きく、この様な恩恵やその特性を考慮すると、投資ポートフォリオにおいて長期的な戦略アロケーションを割り当てることが妥当であると考えています。当社の調査からは、株式60%と債券40%で構成される伝統的ポートフォリオに不動産やインフラを組み入れることで、リターンが向上、ボラティリティは低下する事が明らかになっています5

本レポートでは:

  • 過去を振り返り、有効なインフレヘッジとして不動産とインフラが果たしてきた役割を検証します。
  • これらの上場・プライベートの実物資産から成る分散ポートフォリオが、長期的な結果に与える影響を分析します。
  • 規制や契約条項に盛り込まれたインフレに対するプロテクションなど、これらの資産が底堅い要因を探ります。
     


注記

1    出所:米国労働統計局(BLS)。

2    セントルイス連銀経済データ(FRED)をご参照ください( https://fred.stlouisfed.org/series/DFEDTARU)。

3    出所:BLS。

4    出所:ブルックフィールドによるBLSデータの分析。

5    株式はMSCIワールド・インデックス、債券はブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・インデックスを参照しています。

6    第二次世界大戦後には、CPIで計測して5%以上のインフレ局面が6回ありました(1946–48年, 1950–51年, 1969–71年, 1973–82年、2008年)。2021年7月6日付けホワイトハウスのブログ、「今日のインフレ環境に類似する過去の局面」をご参照ください。

7    グローバル株式はMSCIワールド・インデックス、グローバル債券はブルームバーグ・グローバル総合インデックスを使用しています。

8    仮想分析は上場不動産50%とインフラ50%の合成を使用しています。仮想パフォーマンスには本来的に制限があるため、将来のパフォーマンスまたは全体の金融目的の達成を保証するものとみなしてはなりせん。

図に示されたパフォーマンスは、実際のポートフォリオや実際の取引による投資結果ではなく、ベンチマークのインデックスに基づいてシミュレーションされたパフォーマンスです。仮想パフォーマンスと特定の資産クラスが達成したパフォーマンス結果は大きく異なる場合があります。しかし、これを推奨と解釈してはなりません。各投資家は、これらの資産への投資にあたり、個別の事情に応じて適切な上場市場とプライベート市場の組み合わせについて、各自の金融アドバイザーと相談するべきです。

図表1および図表2:グローバル株式はMSCIワールド・インデックス、グローバル債券はブルームバーグ・グローバル総合インデックスを参照しています。インフラは、ケンブリッジ・アソシエイツ・インフラストラクチャー・インデックスとして定義されるプライベート・インフラと、2014年12月31日以降はFTSEグローバル・コア・インフラストラクチャー50/50インデックスを使用したデータとして定義される上場インフラの均等加重を参照しています。2008年7月30日~2014年12月31日の期間は、ダウ・ジョーンズ・ブルックフィールド・グローバル・インフラストラクチャー・インデックスのデータを使用しています。2008年7月30日以前は、データストリーム・ワールド・ガス、水道&マルチユーティリティー・インデックスとデータストリーム・ワールド・パイプライン・インデックスを均等に合成したデータを使用しています。不動産は、ケンブリッジ・アソシエイツ不動産インデックスとして定義されるプライベート不動産とFTSE Nareitオール・エクイティREITインデックスとして定義される上場不動産の均等加重を参照しています。

リスクについて

不動産関連商品への投資は、不動産の物件価値、賃料または稼働率に影響を与える経済、法的または環境要因により影響を受ける可能性があります。インフラ企業は、高い金利コスト、高いレバレッジ、規制コスト、景気減速、過剰容量、競争激化、燃料不足、エネルギー保全政策など、事業に悪影響を与え得る様々な要因に左右される可能性があります。

ブルックフィールド・オークツリー・ウェルス・ソリューションズ・エルエルシーは、ブルックフィールドの完全子会社です。ブルックフィールド・オークツリー・ウェルス・ソリューションズ・エルエルシーは、米国証券取引委員会(SEC)の登録ブローカー・ディーラーであり、米国金融業規制機構(FINRA)と米国証券投資者保護公社(SIPC)の会員です。BAMの完全子会社であるブルックフィールド・プライベート・キャピタル(UK)リミテッドは、英国の金融行為規制機構による承認(承認番号:730073)と規制を受けています。LFEヨーロピアン・アセット・マネジメントS.à r.l.(ブルックフィールド・アセット・マネジメント(ヨーロッパ)S.à r.l.として営業)は、ブルックフィールドが50%の持分を保有する合弁事業体であり、Commission de Surveillance du Secteur Financierによる承認と規制を受けています。ブルックフィールド、そのアソシエイト、取締役、メンバー、株主、パートナー、オフィサー、従業員、アドバイザー、エージェントまたは関連会社(総称して「関係者」)のいずれも、当資料に関連して一切の明示的もしくは暗黙の表明、保証または約束を行うものではありません。したがって、法律によって認められた最大限まで、ブルックフィールドまたはその関係者のいずれも、いかなる者が当資料における声明または記載漏れに依拠した結果として被った(直接的、間接的もしくは派生的な)損失または損害についても(不正行為の場合を除き)責任を負わないものとします。

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インデックス・プロバイダーに関する免責事項

当資料内で引用されたインデックスは運用されておらず、投資家がインデックスに直接投資することはできません。インデックスのパフォーマンスは例示のみを目的として記載されており、いかなる投資のパフォーマンスも予測または表示するものではありません。当該比較に関連して、記載されたインデックスとブルックフィールドの戦略、コンポジットまたはファンドへの投資との間には、ボラティリティや規制上および法律上の制約の違いなど、重大な要因が存在する可能性があります。ブルックフィールドは、第三者のインデックス・スポンサーからインデックスに関するすべてのデータを取得しており、当該データは正確と考えていますが、その正確性に関していかなる表明も行うものではありません。インデックスは運用されておらず、投資家が直接購入することはできません。

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インデックスの定義

ブルームバーグ・グローバル総合インデックスは、世界中で取引されている投資適格債券で構成される時価総額加重インデックスです。同インデックスには、市場の債券ユニバースを疑似する政府証券、モーゲージ担保証券、資産担保証券、社債が含まれます。同インデックスを構成する債券の満期は1年以上です。

ケンブリッジ・アソシエイツ・インフラストラクチャー・インデックスは、1993年以降に組成された、完全に清算されたパートナーシップを含むインフラ・ファンドから集計されたデータに基づいて計算されます。

ケンブリッジ・アソシエイツ不動産インデックスは、1986年以降に組成された、完全に清算されたパートナーシップを含む不動産ファド(オポチュニスティック不動産ファンドとバリューアッド不動産ファンドを含む)から集計されたデータに基づいて計算されます。

ガス、水道&マルチユーティリティ、素材、石油・ガス・パイプラインを含むインフラ関連セクターのデータストリーム・ワールド・インデックス・シリーズは、当レポートの別紙においてダウ・ジョーンズ・ブルックフィールド・グローバル・インフラストラクチャー・インデックス開始前のインフラの代替インデックスとして使用されています。これらのインデックスは、トムソン・ロイター・データストリームが集計したものです。データストリーム・ワールド・パイプライン・インデックスは、トムソン・ロイター・データストリームが集計した、世界全体のエネルギー・パイプライン企業のインデックスです。

ダウ・ジョーンズ・ブルックフィールド・グローバル・インフラストラクチャー・インデックスは、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシズが計算および維持しており、マスター・リミテッド・パートナーシップを除く、年間キャッシュフローの少なくとも70%がインフラ資産の保有と運営から生じているインフラ企業で構成されています。ブルックフィールドは、ブルックフィールドの名称が付けられたいかなるインデックスについても日々の管理に直接的に関与していません。

FTSEグローバル・コア・インフラストラクチャー50/50インデックスは、市場参加者に業界の定義によるインフラの解釈をもたらし、一定のインフラ・サブセクターへのエクスポージャーを調整しています。セクター別構成比率は、半年ごとのレビューの一環として、広範な3産業セクターについて、公益事業50%、7.5%を上限とする道路/鉄道を含む運輸30%、パイプライン、衛星、電気通信塔を含むその他セクター20%の比率に従って調整されます。各グループ内の個別銘柄の比率は、投資可能時価総額の割合で調整されます。
FTSE NAREITオール・エクイティREITインデックスは、米国エクイティREITの浮動株調整後時価総額加重インデックスです。同インデックスの構成銘柄には、不動産を担保とするモーゲージ以外の適格不動産資産が総資産の50%以上を占めるすべての税制適格REITが含まれます。

ICE BofA 3カ月米国財務省証券インデックスは、運用されておらず、直近の3カ月米国財務省証券の平均利回りに相当する月次リターンを代表するインデックスです。

MSCI ワールド・インデックスは、先進国の株式市場のパフォーマンスを測定するように設計された、浮動株調整後時価総額加重インデックスです。