1. 不動産はインフレによる影響を受けにくい資産

不動産への投資は、ポートフォリオをインフレーションから保護するという役割も請け負います。インフレ期待に伴い、賃料はインフレ率を上回って上昇することがあります。また、不動産資産の価値は、買い替え費用が高騰するにつれて増加する傾向にあります。このような背景から、不動産は歴史的に、平均よりインフレ率が高い時期に比較的高い利益を出してきました。

2. 金利上昇は、不動産にとって必ずしもネガティブな要因ではない

金利上昇は、不動産にとって必ずしもネガティブな要因ではありません。むしろ、経済好況に後押しされる形で金利が上昇すれば、不動産投資による利益が大きくなる可能性があります。過去をみても、米FRBによる引き締め期間中、プライベートの不動産は歴史的にリターンを得られる傾向にあります。

3. 長期的な追い風基調により、賃貸不動産市場は好調

主にアパートメントと一戸建て賃貸で構成される住宅用不動産セクターは、近年大きなリターンをもたらしています。賃貸住宅市場全体の好況を牽引する主な要因は、比較的低価格の住宅が不足していることにあります。過去10年間における新築住宅着工件数は、歴史的な高水準から大幅に減速し、需要が逼迫しています。着工件数が需要を下回っている状況の改善に時間を要していることが住宅価格を押し上げる一方、手頃な価格で住宅を購入できなくなったことにより、賃貸物件への関心が高まっている側面もあります。人口構成が変化していることや、賃貸住宅を好む人の割合が増えているなど、その他の要因も賃貸住宅セクターの追い風となっています。

4. オルタナティブ不動産に好機

一部の「非コア」の不動産タイプにも追い風が吹いています。エンターテインメント・コンテンツのスタジオやその制作施設などがその一例です。デジタル・エンターテイメント・コンテンツ業界は、ストリーミングのサブスクリプション・サービス安定的かつ長期的な収益をもたらすにつれ、驚異的な成長を遂げています。また、トランクルーム・セクターも追い風であると見ています。

5. 不動産債券、特に変動利率債券における魅力的な投資機会

不動産債券市場には魅力的な投資機会が生まれています。商業用不動産担保証券(CMBS) スプレッドの上昇が示すように、最近の不動産クレジットの価格調整により、相対的に魅力的なバリュエーションがもたらされています。不動産クレジット・セクターでは、変動金利債券にリスク調整後の優れた投資機会があると見ており、これに投資することで、金利上昇局面での影響を回避できると 考えています。

6. インダストリアル・セクターへの需要は依然底堅いものの、バリュエーションには規律が必要

近年のeコマースの拡大により、産業用不動産が活気づき、全市場において当セクターの賃料と価格が上がっており、その勢いがとどまることはありません。一方、多くの市場でバリュエーションが上昇し、新規供給も増える中、資産購入に関しては規律あるアプローチが必要となります。